思考

「メルカリ副業」が流行る理由…「ブレークイーブン効果」の威力とは

発行責任者 (K.ono)

 2020年初頭からの新型コロナウィルスの蔓延は、現在でも完全に収束しておらず、7月21日には全国で過去最多の18万人が感染下と報じられました。

リモートワークで「出勤」自体が不明確

 これほどまで感染が拡大したことを考えれば、全世界の完全収束に至るには何年かかかるのではないかとも言われています。すでに人々のライフスタイルや仕事も大きく変化しています。

 日本でも「リモートワーク」という言葉が一般化し、政府や自治体が推奨もしていました。この2年近くで国内に浸透したのは間違いありません。コロナ禍が完全収束した場合、また元の形に戻る可能性もありますが……。

 いずれにせよリモートワークで「出勤」ということ自体が不明確となり、出退勤の時間こそが基準だった「残業代」が発生しづらくなりました。最近は残業の慣習にも変化がありますが、やはり多くのサラリーマンにとって貴重な収入源だったのは事実でしょう。それがリモートワークによって大きく減少したわけです。とはいえ会社員としてフルタイムの労働時間にはある程度縛られる矛盾もある状況です。

 そんな中で多くの人が考えるのが「在宅でできる副業」です。前述のように本業に縛られている以上基本的には家にいなくてはなりませんし、コロナ禍で外へ出ることの難しさもありました。一方で通勤がなくなり時間はより余っています。

 そこで流行ったのが「フリマアプリの売買で副収入を得る」ことです。代表格が「メルカリ」であり、そこでの主に中古品販売で収入を得ることに特別なスキルは必要ありません。もっとも始めるハードルが低い副業と言えるでしょう。

 メルカリには「元手がかからず(もともとあるものを売るだけで)収入を得られる」という利点もありますが、メルカリ自身の調査では「賢くお小遣い稼ぎができる」に次いで「捨てようと思っていたものが売れて得した気分になる」が利用の理由として多かったようです(2018年の調査https://about.mercari.com/press/news/articles/20181119_trilliongmv/)。

ブレークイーブン効果

 捨てるしかないと考えていたモノに思わぬ需要があり、お金が生まれる意外性の喜びは誰にでも理解できるでしょう。これは「損」している状態で、その損失を失くしたいという心理から来るものです。仮にそれが解消され「得」に転換した場合、大きな喜びとなるのです。これを「ブレークイーブン効果」と呼びます。

 ブレークイーブン効果によって「売る喜び」が得られ、買い手としては、スーパーのように明確に商品の陳列が決まっていないことから「宝探し」的な楽しみ方もあるなど、メルカリを筆頭にしたフリマアプリ独自の魅力があります。双方向が積極的になれ、簡単に売買できる仕組みは極めて優れたものと言えるでしょう。

 また、こうしたフリマアプリの隆盛は、昨今話題の「地球環境に配慮」にもつながります。モノを「捨てる」から「リデュース」「リユース」する意義がフリマにはあります。衣料品の大量廃棄などが世界では問題視されていますが、フリマの概念はそれを少しでも抑制することにつながっています。

 2020年の意識調査でも『まだ使える不要品は「売る」』と考えている人が79.8%と前年比較で4.2%上昇するなど、消費者の意識も徐々に変化しています。メルカリなどフリマアプリもその後押しをしている部分はあるはずです(2020年の調査https://about.mercari.com/press/news/articles/20200928_consumersurvey/)。

 転売ヤー問題を含めメルカリの空間には未解決問題は少なからずありますが、そういった問題が解消されることは一般人の消費やエコへの意識を大きく変えることに直結します。フリマへの期待や責任は思いの外重いのかもしれません。
(文/谷口譲二)