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コストコ「まとめ買いの功罪」超便利の裏に「店と客の思惑」が…

発行責任者 (K.ono)

 米国発祥のディスカウントストアで、アメリカ規格の商品が手に入るということで人気のコストコ

いわゆる「まとめ買い」には最適

 コストコはメンバーシップ制という、日本の大型スーパーではなかなか見られないシステムでも注目されました。倉庫のような巨大な店舗や全体的なボリュームなど、存在するだけで日本との差別化ができている状況です。

 また、大量に仕入れて売ることで単価を下げ、価格が安くなっているのも特徴と言えるでしょう。いわゆる「まとめ買い」には最適で、多くの人が一回の来店でそれなりの量を購入するに違いありません。

 1回に大量の商品を購入することで、輸送費や時間の削減に直結します。週5日働くサラリーマン家庭や子育てに忙しいママたちにとっては大きなメリットと言えるでしょう。そういう意味では、そもそも多くを購入する目的感を演出したコストコが流行るのも理解できます。

 コストコは、大量仕入れによって単価を下げた店舗と、大量に安く購入したい買い手のマッチングがかなり上手くいっている例でしょう。それを否定するつもりは毛頭ありません。

 ただ、この「まとめ買い」には問題点もあります。

 なんでもほどほどに、と言いますが、まとめ買いのうち「すべて意味ある買い物なのか」と言われて自信を持てる人はどれだけいるでしょうか。おそらくそれほど多くはないでしょう。事前にメインで購入するものを決めていたとしても、店舗に行って気になった(気に入った)商品を衝動的に購入したり、メインの商品を必要以上に買いすぎたりということは誰にでもあります。

 バーゲンやセールになると、それはより顕著になります。セールというのは基本的に季節や決算などスポット的に行われるもので、期間が決まっています。いつもの商品が安く手に入る……まとめ買いをするには絶好の機会だと思うはずです。

「得る喜びよりも失う悲しみが2倍」

 ただ、ポジティブな理由だけでなく、人間の心理バイアスも影響します。人間は「得る喜びよりも失う悲しみが2倍以上である」ことを、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは「価値関数」として著書などで紹介しています。セールのまとめ買いでいうなら「セールという機会を逃すという損失」です。特に意味がなくても買うことで機会を失わなくて済むと考えるのです。

 こうした思考が、余計なものや必要以上に大量の買い物に帰結してしまいます。それによって、食品なら「余計に買ったものが賞味期限切れまでになくならない」や「冷蔵庫などのスペースが埋まってしまう」などのネガティブな側面と金銭的マイナスを生んでしまいます。

 売る側にとっても多く仕入れて単価を下げ、大量に買ってもらえるのは在庫を減らす上ではありがたいことこの上ありません。しかし、そうした意図に買う側が乗っかることの意味はない場合がほとんどです。

 マーケティングとブランディングのプロである橋本之克氏は、自身の著書で「買い物は単にお金を払って終わりではなく、買ったものの行方や管理まで考えること」としています。

 まとめ買いという行動を、必要なモノを揃える本来の目的ではなく「機会を損失しないため」にやっているかどうか……衝動に駆られる前に一度考えることが必要になるでしょう。
(文/谷口譲二)