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山上徹也の母もう一つの団体「実践倫理宏正会」新潮報道…【親ガチャ】無視できない理由

発行責任者 (K.ono)

 安倍晋三前首相を銃殺し、その出自が注目されている山上徹也容疑者。

「もう一つの団体」

 山上容疑者が、銃撃の動機を「母親が統一教会に多額の寄付をし破産した」と供述したことで、統一教会に極めて大きな注目と批判が集まりました。統一教会側が会見を開く事態にまで発展しました。

 安倍前首相と統一教会の真偽不明の関連性も取りざたされる中、山上容疑者の母親がはまり込んでいた「もう一つの団体」について「週刊新潮」(新潮社)が記事を出しています。

〈【独自】安倍元総理射殺事件 「山上容疑者」父の自殺の背景にあった“もうひとつの団体”の名〉という記事によれば、山上容疑者の母親は「『朝起(あさおき)会』にはまっていた」と、知人が漏らしていたようです。

 生活倫理を実践する社団法人『実践倫理宏正会』が早朝の活動を朝起会というそうで、母親は子どもや夫も放って活動にはまっていたと言います。実践倫理宏正会は母親の在籍を否定していますが、「新潮」はその点に突っ込んで報じています。

 山上容疑者は“凄絶なネグレクト”を受け、実父はノイローゼにより自殺するなど、あまりにもハードな少年時代を歩んでいたようです。無論銃撃が正当化されるわけではありませんが、歪んだ恨みを抱く“土壌”はあったようです。

 また「週刊文春」(文藝春秋)では、母親が親戚から何度となく金の無心をし、統一教会の集会で韓国にも頻繁に渡っていたようです。

「親ガチャ」という言葉が昨年流行

「親ガチャ」という言葉が昨年流行しましたが、「子は親を選べない」という意味を、スマホゲームなどの「ガチャ」と似たものとして若者の間で生まれた言葉です。ネット上ではこの言葉に関する議論が巻き起こりました。

 現在の米国、や日本は「自分の才能と努力で成功できる」という考え方が浸透しています。どんな生まれや境遇でも平等に教育は受けられ、努力をすれば成功できる公正な世の中である、という考え方です。

 ただ、それは裏を返せば「成功できなかった、貧しい結果になったのは本人の努力不足によるものだ」と断じることにつながります。結果、成功者は成功できなかった人を自然と見下す構図になるのです。

 山上容疑者は、あまりにも深刻な家庭環境で育ったのは間違いなさそうです。こうした人たちをすくい上げることができない世の中のせいなのか……答えがなかなか出ない問いでしょう。
(文/谷口譲二)