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占いが「超当たる」理由…オカルトの根源「バーナム効果」のカラクリとリスク

発行責任者 (K.ono)

芸能人や有名な人が、時折「新興宗教にハマってしまう」「占い師に傾倒して、大金を貢いでしまう」といったようなニュースが報じられます。こうした報道があると世間では「そういう類の人物にハマるっておかしい」「そういう人っているけど、けっこう地雷だよね」などと否定的な意見が多く出るのが通常ですね。

もちろん、占いや新興宗教に身を持ち崩すレベルでお金をはたいてしまう例は多くはないかもしれません。ただ、ある程度「占いを信じる」「血液型ごとの性格の違いは正しいと考える」といった人は少なくないのではないでしょうか。

血液型の性格に関しては「日本独特の慣習」

血液型の性格に関しては「日本独特の慣習」で世界的に科学的なエビデンスはなく、占いの多くが「オカルトの世界」であることを完全否定はできないでしょう。一般人の多数も知識としては認識しているはずです。

しかし、それでもハマってしまう人が多いのはなぜか。そこには「バーナム効果」という社会心理学のバイアスが働くからです。

仮にまったく関係のない他人の占い結果(大らかで他人をよく許す人である、等)を見た際、「当たってる、そういうところあります!」と感嘆する人を冷めた感情で眺める人は多いのではないでしょうか。この場合、多くの人は冷静です。

しかし、これが「自分自身への結果」だとしたら、どう思うでしょうか。「大らかで他人をよく許す人である」という結果が出た際、仮にあなたが「神経質で人のミスをよく指摘する人」だったとしても「占いは当たっている」と感じやすい、という傾向が人間にはあるようです。

人間は絶えずマイナーチェンジを繰り返す

人間の性格や性質にはさまざまな側面があり、一概に言えるものではありません。神経質でよくミスを指摘する人でも「しっかり人を見て、大切に育てようとしている」という意味で「大らか」と解釈できる瞬間もありますし、逆の場合もあります。相対する人やその場の状況によって人間は絶えずマイナーチェンジを繰り返しますし、多面的な見方をすると全く違う性格が見えてくるものです。その結果、占いも「当たる」と感じやすいという結論に至ります。

極めてあいまいである自分の性格についての指摘は「当てはまる」と思いやすい、これこそが「バーナム効果」と呼ばれる傾向ということです。

つまり、その占い師の実力や能力が「占いが当たる」こととは関係なく、あくまでも「誰にでも当てはまる性格情報に対する当人の解釈」によって、当たるか当たらないかが決まるということです。さらに「バーナム効果」によって占いは「よく当たるもの」になってしまうのです。

自己肯定感が必要以上に増大するリスクも

商売であることを考えれば、占い師はお客に対して厳しい指摘をすることは少ないでしょう。優しく、救いをもたらすような的を射た(と思わせる)結果を示す場合が多いのではないでしょうか。それによってお客が高揚し、前向きな気持ちになれば成功というわけです。

「前向きになる」というだけなら占いにも意義はあるのでしょうが、リスクもはらんでいます。「誰にでも当てはまる情報」によって自己肯定感が必要以上に増大し、それに従った結果失敗し、さらなる精神的ダメージを受けてしまうということも少なくありません。そして、改めて救いを求めて占い師をたずねる……こうして時間や費用を大量に投じてしまうパターンもあり、諸々のトラブルに発展するリスクも生まれてきます。

「バーナム効果」を鵜呑みにすることによるリスクは間違いなくあります。こうした傾向を認識することで、占いに必要以上に振り回されたり“反動”による精神的ダメージを避けることができるはずです。