JRA重賞を4勝、有馬記念「3年連続3着」というインパクトの強い記録でファンに愛されたナイスネイチャが北海道浦河町の渡辺牧場で死亡した。35歳だった。
91年~93年の有馬記念で3年連続3着
ナイスネイチャは通算41戦7勝、うち重賞が4勝である。立派な成績だが、往年のファンの間で鮮明な記憶として残っているのが91年~93年の有馬記念で3年連続3着に入ったことだ。それぞれダイユウサク、メジロパーマー、トウカイテイオーが勝利馬と印象深い有馬記念だが、そのいずれでも3着に食い込んだ走りは今でもファンの語り草である。
1994年の高松宮杯の勝利を最後にその後2年以上勝てず引退。現役時代が長く消耗も心配されたが、その後も元気に余生を送り、毎年ファンがネット上で誕生日を祝うなど名物化していた。『ウマ娘』でもキャラクターができたあたり、この馬の人気を表していると言えよう。
35歳という年齢は人間でいえば100歳以上。間違いなく大往生であり、JRAの重賞勝ち馬でナイスネイチャ以上の長寿は1970年の天皇賞・春を勝利したリキエイカン(35歳102日)が3位、三冠馬シンザン(35歳3か月11日)が2位、1位は1987年の共同通信杯4歳ステークス優勝馬マイネルダビテ(36歳8カ月27日)で、彼らに次ぐ4位の記録である。
特異なまでの長寿でも話題になったナイスネイチャ。ファンの悲しみ相当だが「このタイミングの訃報」に、思うところのあるファンも少なくない。
『無事是名馬』といえる存在
「28日の日本ダービーで、2番人気スキルヴィングがレース後急性心不全で倒れ、そのまま息を引き取りました。ビッグレースでの突然の死に、多くのファンがショックを受けている状況です。競馬というのは時折どうしてもこういった事故が起こってしまうもので、そのたびにファンや関係者は悲嘆に暮れます。
35年という長きにわたりファンを喜ばせ続けたナイスネイチャはまさしく『無事是名馬』といえる存在。多くの競走馬が無事に引退、長寿になってほしいと願うばかりです」(競馬ライター)
天国のナイスネイチャは、今後も多くのファン、そして競走馬を見守ってくれているはずだ。心よりご冥福をお祈りしたい。
(文/山田文五郎)