時事

京都財政破綻危機よりやばい街も…地元を大切にできない時代

発行責任者 (K.ono)

 昨年、世界でも有数の観光都市である古都・京都に関し、イメージと大きく異なる報道がなされました。

「10年以内に京都市の財政は破綻しかねない」

市の職員の高給や無理な歳出超過の補填

 同市の門川大作市長のこの発言で、市民どころか日本中に大きな衝撃が走りました。京都といえば日本を代表する観光地で、国内外を問わず多くの人が毎年押し寄せる場所。そんな、他の自治体からすれば羨ましい限りに見える京都が破綻とは、すぐにはイメージできないでしょう。

 世界中蔓延する新型コロナウィルスの影響がないと言えばウソでしょうが、それはどの自治体も同じこと。京都は市の職員の高給や無理な歳出超過の補填に貯金を使い、借金までして無理やり黒字にしてきた点を「PRESIDENT Online」などでは指摘されました。

 上記は京都特有の問題で市政を動かす人間たちの責任が重いと言わざるを得ません。一方で、京都市が抱える問題の中には、日本中の多くの自治体が共通に抱える部分もあります。

 京都の場合、大量の外国人観光客、インバウンドを見込んだ宿泊施設の増加による土地の超高騰とマンション供給の低下が理由ですが、「人口減」、とりわけ若者の減少はほとんどの自治体にとって死活問題です。

「高すぎて住めない」問題

 京都の場合は「高すぎて住めない」問題が特徴的ではありますが、元日本マイクロソフト社長・成毛眞氏は著書『2040年の未来予測』(日経BP)にて、地方の窮状について語っています。

 成毛氏は「大規模な雇用を生む製造業の工場などが海外に流出し、代わりに新たな企業の誘致もままならない」「市税は目減りし、地方交付税の減少も響く」と記しています。ただでさえ少子高齢化の中、20代、30代が仕事を求めて大都市を目指すのは致し方ないでしょう。

 今でこそ地元の田舎で低所得を共有し、それでも気心の知れた友人関係を大事にする「マイルドヤンキー」という言葉がありますが、地元を大事にする余裕もないほど仕事がない時代が来れば、この言葉すら死語になるほど若者が消える可能性もあるでしょう。

 人口減による「地方消滅」は現実問題――成毛氏は同著でそう断言していますが、作家の橘玲氏の著書『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)では、地方の消滅をさらに加速させるような情報を紹介しています。

『幸福の「資本」論』では、リベラル派の経済学者・ロバート・ライシュが1991年に示した「予言」について語っています。

地方の若者の仕事はますます奪われる

 ライシュは大ベストセラー『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』(ダイヤモンド社)で、米国の仕事が「マックジョブ(マクドナルドのように定型化された仕事)」と「クリエイティブクラス(時給換算できない仕事)」に二極化されると指摘。グローバルの世の中で、単純作業や接客業などは移民や新興国の人々を低賃金で雇えるようになり、これまで中流だった層の豊かさは失われていくとしました。30年も前の予言ですが、困窮する白人労働者階級の支持を受けドナルド・トランプ政権が誕生したアメリカ、そして同じく格差が拡がる現在の日本を見事に言い当てています。

 こうなると、地方に今も残る大規模工場の労働は低賃金で雇える外国人のものとなり、地方の若者の仕事はますます奪われる可能性が高くなります。もちろん移民が流入して人口が増えるという側面もありますが、もともと生まれ育った人たちの収入源が狭まることも意味します。この点は自治体としても頭が痛いところでしょう。

 京都市があまりにも特殊で意外、ということで目立っていますが、他の自治体も特に若者の流出という面は大きく変わらず、大都市圏への流入は今後も減らないでしょう。

 そうなると、都市部の大学卒業生が地元に帰る際に人気となる「地方銀行」や「県庁・市役所」なども安穏とはしていられないでしょう。地銀に関しては以前から危機が叫ばれていますが、こうした状況を踏まえれば公務員すらも安泰ではありません。

 結局のところ、都市部に挑戦することよりも、もとからいる地方に留まることこそが「リスク」という結論に至ってしまいます。リモートワークの浸透などでそれも変わるかもしれませんが、一度も都市圏を経験せずにその状態が得られる可能性は低いでしょう。
(文/堂島俊雄)