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川田将雅「ゲートで静かに」JRAファンにお願いの裏。オークス・リバティアイランドの力と苦い「ハープスターの記憶」払拭へ

発行責任者 (K.ono)

 21日に東京競馬場で開催される3歳牝馬最強決定戦・オークス(G1)。

「負けるイメージがわかない」

 今年の人気は阪神JF・桜花賞を後方からの圧倒的な末脚で制したリバティアイランドが断然の1番人気になることが予想されている。この馬の4戦すべてに騎乗しているのが川田将雅騎手だ。

 5月2週時点で60勝とリーディング首位、3着内率6割という素晴らしい成績を残す川田騎手。そんな川田騎手にとって今年“メイン”になるのがリバティアイランドだけに、この舞台への意気込みは相当なものに違いない。競馬ファンの意見も「外ラチを走っても勝てる」「負けるイメージがわかない」といった声が多数だ。

 一方で、川田騎手には似たような状況で苦い思い出もある。2014年、桜花賞を「全馬ごぼう抜き」で勝利したハープスターが、圧倒的な1番人気で臨んだオークスでまさかの2着に敗れたことがあった。あの時のことを思い出すファンもいるようだが、川田騎手自身も成長している現在なら、同じ轍は踏まないと考えてもいいだろう。

 そんな中、17日の共同会見で川田騎手が異例の「呼びかけ」を行った。「競馬場に来られるお客さんに少しお願い」として「後の馬がゲート入りするところでまた盛り上がる。以前であれば、ゲートが開くまで我慢していただいていたところですので、スタートを切るまではもう少し、あと2秒ほど声援を我慢していただき、ゲートが開いてからは全力で盛り上がっていただければ」とした。

 川田騎手としては「ゲートに入った馬がイレ込んで危険だから、ゲートを出るまでは声援をしないで欲しい」ということだろう。コロナ禍がひと段落したことで観客が戻り活気も元通りになりつつあるが、一方で改めての「問題」も浮上したということかもしれない。

 競馬の関係者も「以前から言われてはいたこと」としている。

『リバティアイランドを万全で走らせたい』

「武豊騎手など先輩ジョッキーもこの件について発言したことはありますが、共同会見でこうした発言をするのは珍しいですね。競馬界全体を考えてのもので、支持するに足るものでしょう。

また、1番人気確実の馬に乗る川田騎手が発言するということで『リバティアイランドを万全で走らせたい』という気持ちも強いのかもしれません。オークスや日本ダービーはスタンド前発走で声援がより直接的に馬に響く。意味のある発言ではあると思いますし、川田騎手のこのレースに対する意気込みも伝わってきます」

 川田騎手は2012年のジェンティルドンナ以来オークスは未勝利、中内田充正厩舎は2200m以上のG1を未勝利とデータの不安要素は少なくない。ただ、そんな情報を無視できるほど、リバティアイランドのポテンシャルは確かである。

 過去の苦杯と不利なデータを、成長と意気込み、そしてパートナーの力で乗り越えられるのか注目される。
(文/河島栄次郎)