ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏による「性加害問題」が、世間の大きな怒りを買っている。
民放は“横並び”のコメントに終始
ジャニー氏の問題、ジャニーズ事務所の「事なかれ主義」な対応が批判の対象になっているのは当然だが、ここ数日はテレビ局側の「忖度」こそ問題視されているのだ。
5月末になって、各局が定例会見でこの問題についての見解を出した。テレビ東京の石川一郎社長は「タレントに罪や問題などがあるわけではない」、フジテレビの大多亮専務は「所属タレントの方々に問題があったわけでございません」、日本テレビの石澤顕社長はタレントを起用した番組の変更などは「今の時点で想定できるものはない」、テレビ朝日の篠塚浩社長は「タレント起用に変更はございません」、TBSの龍宝取締役は「個人の方が問題を起こしたわけではない。キャスティングを変更することは考えておりません」と、民放は“横並び”のコメントに終始した。結局、出演は変わらないようである。
これだけの問題、しかもテレビ局自体が「性加害報道を重く受け止めている」としながらも出演に変更はしないというのが、事務所とテレビ局のズブズブの関係を表している。
「ダイヤモンド・オンライン」は1日、【ジャニーズのナメきった再発防止策で「逃げ切り」許すテレビ・新聞の重罪】との記事を掲載し、ジャニーズ事務所の「その場しのぎの再発防止策」を徹底的に糾弾している。さらに、その対応を一向に攻めないテレビや新聞などマスコミの姿勢を糾弾しているのだ。
いかに世間が騒ごうと、巨大事務所とテレビ局がマイペースに内々で処理すればいずれは風化する……そういった思惑が見て取れるが、このままで本当に済まされるのか。
テレビが恐れる「実弾」
「確かに、このまま見て見ぬフリをすることも可能でしょう。政府などが第三者委員会を作るよう働きかければまた別ですが、ジャニーズもテレビ局も強固ではあるので、どこまでやるのか……。
一つあるとすれば“実弾”ダメージですね。テレビの大手スポンサー企業が『ジャニーズ関連企業には金を出さない』となると、さすがにテレビ局側も対応せざるを得ません。
ジャニーズは現在でも一定のファンがいますし、強固なファンに支えられています。当面は大丈夫でしょうが、テレビに出続けられるかは大手スポンサー次第でしょう。大企業には国際的な事業展開をしている会社も多い。海外の目もありますし、起用が続くとは限りません」(メディア記者)
テレビとジャニーズの「地盤沈下」が起こる日は来るのか。
(文/堂島俊)