社会

法元明菜「ニート二分化」と現実…データを見た「69万人」の内訳

発行責任者 (K.ono)

 声優の法元明菜さんの発言が一部で注目を集めています。

 法元さんは24日、YouTubeの配信で「ニート」について言及。ニートには「溜めニート」と「逃げニート」の2種類があるとして、前者は「将来設計について熟考しているニート」、後者は単なる逃げで「今すぐ働け」と一喝したようです。

ニートが「2種類」に分けられるのか

 これに対し、世の中のニートの人たちの一部が反発しているようです。法元さんはラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』にも出演中ですが、こうした収入やYouTubeのスーパーチャットなどが「ニートや引きこもり、オタクのおかげ」ではないのか、との意見があるようです。

 ストレートな発言で確かに強烈なダメージを喰らう人もいるかもしれませんが、意見として筋が通っているようにも見えます。彼女の意見を支持する声も少なからずあるのです。

 ただ、本当にニートが彼女の語る「2種類」に分けられるのかと言えば、疑問も残ります。

 日本における「ニート」とは「家事も通学もしていない15歳~34歳の非労働層」であり、2020年時点で69万人(総務省「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の概要(17p)」)です。全年齢の「無業者」で言えば108万人と増加傾向にあります。

 ニートの数は2.8%であり、決して無視できる数字ではありません。増加傾向ならなおさらです。こうしたニートの数は「社会問題」であり、一つの“現象”と捉えることもできるでしょう。こうした深刻な現象を簡単に二分化することは決してできません。

ニートである「理由」

 また、ニートである「理由」について考えてみると、総務省統計局「平成24年就業構造基本調査(61p)」ではニートになってしまった理由として「病気や怪我(26.5%)」がトップ。そのほか進学や資格取得などの勉強中(12.3%)、・探したが見つからない(11.0%)が続いており、それぞれの事情や運が大きく絡んでいることがわかります。

 マイケル・サンデル氏の著書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(早川書房)では、現代の米国が生まれや家庭環境など「運次第」で人生が決まってしまうことに警鐘を鳴らしていますが、ニートにもそうした運や状況が深くかかわることは否定できません。

 ニートという言葉は「怠け者」の印象をどうしても思い描いてしまいますが、中身を見ると千差万別であることがわかります。

 レッテル貼りは簡単ですが、致し方ない人たちも傷つける可能性があるという意味では、法元明菜さんの発言を「その通り」と100%同意するべきではないのではないでしょうか。
(文/谷口元夫)