生活

「血液型占い」のインチキぶり。相性判断は“MHC遺伝子”のほうが重要?

発行責任者 (K.ono)

 みなさんは「占い」を気にしていますか?

 ファッション誌や週刊誌、新聞はもちろん、情報番組などのテレビを見ていても、占いというコンテンツを目にしない日はありません。

「血液型占い」

 私たち日本人は占いが大好きという国民性を持っているのかもしれません。最近では、「突然ですが占ってもいいですか?」というフジテレビ系列の占い番組が若い女性を中心に大きな人気を集めるなど、占いというカルチャーはますます熱を帯びてきているようにも感じられます。

 そのように、私たちに身近な占いですが、その種類は星座や生年月日、干支などを用いた手軽なものから、水晶やタロットを使った本格的なものまで実に多種多様。

 なかでも、私たちが日常的によく話題にしているのは、「血液型占い」ではないでしょうか。いくら占いに興味がない人でも、「A型は真面目」、「B型は好奇心旺盛」、「AB型は天才肌」、「O型はおおらか」などの一般的なイメージくらいはご存知かと思います。

 特にカップルや夫婦などパートナーを持つ皆さんは、相手の血液型との相性を一度は調べたことがあるのではないでしょうか。

「血液」という体の中に実際に流れているものを題材にしている分、「科学的な根拠」を少しは含んでいそうだと血液型占いからは感じますが、果たして実際にはどうなのでしょうか。

血液型以上に根拠がある“遺伝子”

 亀山早苗さんの著書「人はなぜ不倫をするのか」(SBクリエイティブ)の中で、行動遺伝学を専門とする山元大輔さんは、「血液型というのは赤血球の糖タンパクを分類したものなので、性格とは無関係である」と血液型占いに根拠がないことを伝えています。

 さらに山元さんは、相性を判断する際に血液型以上に根拠があるのは、「『MHC』という遺伝子が作るたんぱく質である」と語ります。スイスの大学にて行われたMHC遺伝子を題材にした実験によると、人々は無意識のうちに「MHC遺伝子の型が遠い異性を好意的に捉える」ことが科学的に判明していると説明しています。

 つまり、パートナーとの相性を占うのであれば、血液型占いではなくMHC遺伝子の形を見てもらった方が確実だということになります。

「一目見た瞬間に電流が走った」という出会いも、相性や環境というよりも、ひとえにMHCが遠いからという理由にすぎないかも。「運命の出会い」といわれる恋も紐解いてみれば、実は無意識のうちに脳によって演出されていたものなのかもしれません。

 運命の正体はたんぱく質だったという結論は、なんだか少し味気ない気もしますね。ただ、「生まれ持ったタンパク質の型」というとかなり無機質な感じがしますが、「生まれた瞬間から遺伝子的に惹かれることが決まっていた」と言い換えれば、まだ少しドラマチックかもしれません……。

少女漫画の王道のような恋愛

 とはいえ、人間は本能だけでなく、社会性や理性なども身に付けている生き物です。世の中の全ての人々がMHCの作用だけでパートナーを選んでいるという訳では決してありません。

 無意識という本能的なイメージを超えて、相手の内面を知っていくうちに惹かれていくというケースももちろんあるはずです。最初は嫌いだったけれどいつの間にか好きになっていた、そんな少女漫画の王道のような恋愛の経験がある方もきっといるはずです。

 科学的な遺伝子による相性も、占いという指標も、どちらもあくまでも参考や傾向として自分のなかで消化していくべきでしょう。それらに依存したり、縛られたりして悲観的になったりして、自らの可能性を消してしまうことが一番ナンセンスです。

 それらの意見をひとつの「考え方」として意識しながらも、「自分の気持ち」を持ち、目の前の相手としっかりと向き合うことがなにより大切なのかもしれません。
(文/愛知太郎)