毎年12月に発行されるミシュランガイド。飲食店やレストラン、宿泊施設のガイドブックですが、“星”の数による格付けで有名です。
三つ星は言うまでもありませんが、一つ星でも大いなる栄誉です。高級店ばかりのイメージがあり「庶民は行けない店ばかり」と思っている人も多いかもしれませんが、実は1000円代のお手頃メニューがある店も載っています。
ストレスと食事
食事は人間にとってただの栄養補給のためではなく、楽しみの1つでもあります。ただ栄養を取るだけだとしたら、毎日完璧な食事を食べればよいのです。
例えば、カロリーと栄養バランスが計算されたオレンジ味のゼリーがあったとします。それを365日×3食食べれば、栄養は偏ることなく、体形キープも簡単。さあ、どうでしょうか。「ぜひその食生活がしたい」と思った人は、おそらくゼロでしょう。
「今日はお刺身を食べたい」「ご飯炊いちゃったけど、やっぱりスパゲッティがいいな」など、人はそのときの気分によって食べたいと思うものは違い、“食べたいものが食べたい”のです。
一方で皆さんは「ストレス太り」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。これには食事が大きく関わっています。
仕事や家庭、学校で嫌なことがあったり、むしゃくしゃした気持ちになったりすると、「そんなに食べたくないのに、何か食べずにいられない」こんな気持ちになったことはありませんか。
そんなときは、身体がストレスを強く感じ、それに適応するために食事に向かわせている可能性が高いと、応用神経科学者の青砥瑞人さんは、自身の著書『HAPPY STRESS (ハッピーストレス) ストレスがあなたの脳を進化させる』(SBクリエイティブ)のなかで述べています。
やけに揚げ物が食べたくなったり、おなかが空いていないのに普段はあまり食べないケーキを食べてしまったり。食べた時は確かに「あーおなか一杯!」と一瞬満たされたように思いますが、「なんで食べちゃったんだろう」と後悔し、自己嫌悪に陥るという悪循環になってしまいます。
青砥さんによると「食事を自己のダークストレスを和らげるものとしてうまく活用することをおすすめします」とのこと。ダークストレスとは、私たちが一般的にストレスと聞いて思い浮かべる、良くない・悪いストレスのこと。
食事に「集中」すること
食事をうまく活用、といってもいわゆる“ドカ食い”を推奨しているわけではありません。自分で自分をリードできない形の食事では、その意図とは裏腹にストレスを導きやすくなり、逆効果に。ドカ食いは、食事を良くない形で利用してしまっている典型だと言えます。
そうではなく、「話題のイタリアンの2000円ランチに行っちゃおう!」でもいいですし、人によっては外食よりも「家で丁寧に食事を作って食べる」方が良い効果を生み出すかもしれません。
食事の際には、もう1つ大切なことがあると青砥さんは語っています。それは「食事に集中することです。食事に集中することは、栄養分としてのエネルギーを蓄えるためだけではなく、ダークストレスを緩和することにも期待が見込めます」と青砥さん。実際に、食事のマインドフルネスというものがあるくらいです。
とはいえ、嫌なことや気になることを頭から追い出すことはそう簡単ではありません。そこでおすすめなのが「いただきます」「ごちそうさま」というルーティンをしっかり意味づけることです。声に出して言うことで、気持ちのスイッチをうまく切り替えるのです。特に一人暮らしの人は、テーブルに食事を並べたら、そこからなんとなく食べ始めていることが多いでしょう。
食事のときは食事に集中する。これも、ストレスとうまく付き合うための大切な手段なのです。
(文/愛知太郎)