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就活は「投資」で突破する? トレードだけではない投資活用法とは

発行責任者 (K.ono)

 新型コロナウィルスで日本全体が今もなお困惑の只中にいるが、就職活動中の学生もそれは同じだろう。

大企業就職も単なる選択肢に

 東京大学の優秀な学生が起業やスタートアップに就職する例も増えるなど、これまでのように「名の知れた大企業に就職したり官僚になる」という道筋もあくまで一選択肢という雰囲気も出てきた。昨年8月にも大手自動車会社ホンダの早期退職を募集。2000人超が集まったという話もあり、大企業だから未来はバラ色、とはいえないのが実状だ。

 とはいえ、やはり寄らば大樹の陰、大企業の人気がそうそう落ち込むことはないだろう。少子化といわれるが、不透明な社会情勢を鑑み採用を絞る場合もある。高収入・高安定性の企業には応募者が殺到し、熾烈な競争を経て入社を勝ち取る優秀な社員は一定集まるに違いない

 だからこそ、中途半端な企業研究や学生時代の活動で新卒採用されることは、今後ますます厳しくなってくるだろう。学歴の価値は今後下がってくるだけに、今後は学生の「実績」が採用においてさらに重要視を増すに違いない。

 ただ、誰もがインターンや海外留学、面接官を感嘆させるような特異な経験ができるわけではない。親が裕福であるかどうかなども、経験という意味では広がりやすいのも事実だろう。サークル活動をがんばった、アルバイトに勤しんだ経験などは、残念ながら就職活動において大きな武器にはならず「それしかないのか」と呆れられる可能性すらある。

「投資を勉強すべき」

 では、個々の環境や状況に限らず、就職活動を戦いやすくする「武器」はあるのだろうか。『ビジネスエリートになるための教養としての投資』(ダイヤモンド社)で、著者の奥野一成氏は「投資を勉強すべき」としている。

 面接で判で押したような模範解答ではなく「投資を勉強しています」と発言するだけで、他の学生よりも少なからず特徴が出るに違いない。

 もちろん言葉だけではダメで、例えば学生時代に採用試験を受ける企業、もしくは株を購入しそれを保有することは、その業界を積極的に勉強する何よりのきっかけになる。

 何せ自分のお金を投じているのだから、その企業のことをもっと知りたいと詳しく調べようという気持ちになるはずだ。そうすれば、その企業だけでなく、取引先や関連する企業、業界にも話は広がっていき、いつの間にか広いビジネス知識が得られるというわけだ。

 就職後も、それらの知識や取引先との交渉などに役立つという瞬間もあるはずだ。深い知識は就職活動だけでなく、その後の武器にもつながっていく。

投資をする視点から業界を学ぶ

「投資」というと、チャートにらめっこしながらのデイトレードや株式価格の短期的な取引をイメージしがちだが、ここで語られるのは、その会社の事業に投資するスタンスである。

 実際に株式を買わなくとも、投資をする視点から業界を学ぶことは、少なくとも就職活動や就職後の血肉となるはずである。

 かつては100万円以上なければ上場企業の株が買えない、という時代もあった。しかし今はすべての企業が100株から購入可能で、数十万、場合によっては数万円単位で投資ができる世の中になった。ネット証券開設により購入も簡略化されている。

 安易に一攫千金を狙う投資(投機?)はなかなかオススメしがたいが、事業を学ぶ意味での投資はぜひともやるべきではないだろうか。
(文/谷口譲二)