4日に開催される安田記念(G1)は、東京競馬連続G1の最後を締めくくるレースだ。
昨年優勝のソングライン
今年は多数のG1ホースが牡牝問わず参戦するとあって、非常に予想しづらいハイレベルなレースとなっている。しかし、昨年優勝のソングライン(牝5歳)はやはり中心からは外せないだろう。
ソングラインはここまでマイルで8戦。結果は「4勝2着1回3着1回5着1回着外1回」と極めて優秀な成績を収めている。4勝のうち3勝はG1・G2であり、現役最強クラスのマイラーであることは疑いようがない。今回も前走ヴィクトリアマイルを制した戸崎圭太とコンビを継続する。
キズナ産駒の誉れともいうべきソングラインだが、ヴィクトリアマイル→安田記念の連勝は容易ではない。過去にも2020年のアーモンドアイがヴィクトリアマイルを圧勝しながらも安田記念では先に抜け出したグランアレグリアに完敗。そのグランアレグリアも2021年はヴィクトリアマイルを完勝したものの、安田記念ではダノンキングリーにわずかに届かず敗戦。他にもアパパネ、ダンスインザムードなど、ヴィクトリアマイルを勝利馬が安田記念で跳ね返されるという例は多い。アーモンドアイやグランアレグリアは歴史的な名馬であり、この2頭が破れているという事実は決して無視できない。
唯一、同一年のヴィクトリアマイル→安田記念を連勝したのは2009年のウオッカのみ。ウオッカの場合は前年の安田記念も勝利しており、現在のソングラインと状況が全く同じだ。
高い人気を誇った歴史的名牝のみがこじ開けた壁。当時の鞍上は武豊騎手だったが、連覇を決めた安田記念では最後の最後まで前が壁になり、ようやく前が開いた残り100mで奇跡のような末脚が爆発。ディープスカイを差し切るという“奇跡”のような内容だった。武豊騎手も「下手に乗った。厳しい競馬になって、馬に申し訳ないことをした」と反省の弁を口にするようなレースだった。
この馬のベストな条件
安田記念→ヴィクトリアマイル→安田記念と勝利するには、ウオッカでさえも「見えざる壁」が最後の最後まで立ちはだかった。逆に言えばそれを越えたウオッカはやはり歴史的名馬であり、ソングラインもここを勝てばその“仲間入り”を果たすといえる。
ソングラインは5月31日の最終追い切りで、Wコース3頭併せで軽快な動きを披露。戸崎騎手も「メンバーは強くなりますが、この馬のベストな条件だと思う」と自信をのぞかせる。
果たして、数多の名馬が跳ね返されてきたジンクスを打ち破ることはできるのか。注目が集まる。
(文/田山亮)