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ネトフリDAZNらサブスク見直しで一気の節約!? 「行動経済学」で見る月額会員をやめられないワケ

発行責任者 (K.ono)

 昨年2021年は思うように貯金ができなかった、出費が自分の想像を超えてかかってしまった……などなど、思い描くようなお金の使い方ができなかった人も多いでしょう。

 だからこそ「今年からは」と心機一転、改めて今自分が当たり前に使っているコストを見直すことは、とても重要なことのはず。すでに5月も後半ですが、今からでも間に合う「節約」があります。

人間の心理から経済を読み解く

 とはいえ「どこから手をつければいいのかわからない」という意見もあるでしょうし、突発的な出費の未来は誰にも読むことはできません。

 今回は、人間の心理から経済を読み解く「行動経済学」を通して、まずはどういったコストに注目すべきかという点を考えたいと思います。

 もっとも気軽で、かつ大きなコストが「サブスクリプション」です。

 動画配信サービス、音楽、マンガ、ショッピングなど、世の中には多くの月額サービスが存在し、そうしたサービスは「サブスク」の愛称で親しまれています。「月1000円でこんなに楽しめるなんて!」と思うサービスも多く、ついつい登録してしまう人も多いでしょう。先日には、スポーツ動画配信を行うDAZNの月額利用料が1925円から3000円に値上げされ、大きな注目を浴びました。

 ただ、そのサービスを「毎月1000円に見合うほど使っているのか」ということを考えてみるといいでしょう。思った以上に「月1度か2度しか開かない」というサービスも実は多いのではないでしょうか。

 こうしたサービスは、登録と比較して解約をするのが骨が折れるものです。サービス提供者が解約をさせないためのある程度の意図もあるでしょうが、ついつい先延ばしにしてしまいます。

すでに支払って戻ってこないコスト(埋没コスト)

 しかし、他にも原因はあります。いざ解約しようと考えたとしても「また見たい動画作品が出るかもしれないし」「たまには見るし、一応続けているほうがいいのでは」と、不思議と継続に気持ちが向かうことも多いのです。現在の状態を保ちたいと思う人間の傾向は強く、これを「現状維持バイアス」と呼びます。この現状維持バイアスに、前述した解約の面倒くささなどが相まってしまうこともあるでしょう。

 また「ここまで支払ってきたのに、今やめるのは結局損ではないか」と考えてしまう傾向もあります。これはビジネスの投資などもそうですが、すでに支払って戻ってこないコスト(埋没コスト)を意識し「あれだけ投資したのだからもったいない」と考え、結果さらなるマイナスを掘ってしまう、という例は多いです。「ここまで続けたのだから、やめたら無駄になる」と考えることを「サンクコスト効果」といいます。

 有料契約しているサブスクに対し、自分が現状維持バイアス、サンクコスト効果に陥っていないかを意識して見直すことで「本当に必要か否か」を一つずつ選択できるようになるでしょう。コスト見直しの第一歩としてはいいのではないでしょうか。

 また、スマホなどの「いつの間にか契約しているオプション」もバカにできません。本人も覚えがないオプションの料金を毎月支払っていないでしょうか。

「デフォルト」

 これは、サービス提供者がユーザーに対し、強制させることなく望ましい方向に誘導する「ナッジ理論」と呼ばれる有名な理論で、近年注目されています。スマホ契約の際に「最初からオプションのチェックボックスが埋められ、そのまま契約する」などといった点が代表的でしょうか。「デフォルト」という形でよく語られますね。

 契約等では情報量も多いので、人間はどうしても考えるのをやめてしまいがち。そうした選択が積み重なって、いつの間にか年間でバカにならない金額を支払っているという例は非常に多いです。

 こうした人間の傾向を考えるだけで、今のコストとの向き合い方、気づいていなかったコストに気づくこともできるかもしれません。その辺を一掃するだけでも大きな進歩といえるのではないでしょうか。
(文/田中正一郎)