20日公開の吉岡里帆さん主演映画『ハケンアニメ!』に注目が集まっています。
と言っても決して良好な注目だけではなく、一部メディアが報じているように「初週トップ10入り逃す」など“爆死状態”という点もクローズアップされています。
「映画.com」の評価は4.0
原作は辻村深月氏の同名小説。アニメ制作現場を舞台とする「お仕事小説」で、新人監督としてデビューした斎藤瞳(吉岡さん)が、憧れにして最大のライバル王子千晴(中村倫也さん)と、土曜夕方5時のアニメ視聴率で対決し「覇権」を争うというストーリー。個性的な同僚たちとのリアルなアニメ制作の描写と葛藤がメインとなっています。
興行収入では大きく出遅れた印象ですが、劇場で観賞した人の評判は上々。「映画.com」の評価は6月1日0時時点で4.0とかなりの高ポイントです。
なぜこのような結果になっているのでしょうか。
『シン・ウルトラマン』ヒットの裏で、優れた内容
「今はそれなりにヒットしないと、いえ仮にヒットしていても早々にNETFLIXやAmazonプライムビデオで無料配信が開始される傾向にあります。
『ハケンアニメ!』に関しても『配信で観ればいい』という判断をした人がそれなりに多かったのかもしれません。どの年齢層をターゲットにしているのかも曖昧と言えば曖昧ですね。また、邦画ですと『シン・ウルトラマン』がその前週に公開され大ヒット中。話題をさらわれた感もあります。今は『ウルトラマン』や今週公開した『トップガン マーヴェリック』など、年配層に刺さる作品や子ども向けから入るアニメそのものがヒットする傾向にあります。
ただ、辻村さんの原作ということで物語の構成はしっかりしていますし、アニメ制作の現場の詳細も知ることができます。絵コンテ、声優、音響、色彩、CGなど、当たり前に観ているアニメがどれほどの苦労で作られているのかがハッキリと見て取れます。また『業界の覇権を握る』という目標があるものの、主要人物たちの喜びは目標はあくまでも等身大スケール。その点も多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか」(映画ライター)
劇中で流れるアニメも、実際の人気監督が手掛けるなどなかなかの迫力です。
「配信でいいや」と断じず、劇場で観る価値のある作品ではないでしょうか。このままだと早々に上映する劇場がなくなってしまいそうなので、応援の意味でも記事にさせていただきました。
(文/正田倫)