時事

安倍晋三死亡「山上徹也はジョーカーか」理由不明確な「無敵の人」の刃が一国のトップに届いた戦慄

発行責任者 (K.ono)

 8日、奈良県奈良市で街頭演説中に銃撃された安倍晋三元内閣総理大臣が、亡くなったことがわかりました。67歳でした。

アベノミクス、集団的自衛権、憲法改正

 安倍元首相は、奈良県の大和西大寺駅近くで、散弾銃のようなものを持った山上徹也容疑者に打たれ、首や心臓を撃たれ、奈良県立医科大学に搬送。手当を受けましたが、亡くなってしまいました。

 総理として、日本の政治家として稀有な存在感を示した安倍元首相。アベノミクス、集団的自衛権、憲法改正など様々なトピックスで世間から賛否を受け、だからこそ活発な議論も巻き起こしました。今の自民党、政治はずいぶんとぼんやりしたものに思われます。

 日本の政治における最重要人物だった安倍元首相。それだけに今回の凶行は許しがたいものがありますが、山上容疑者は「安倍元首相の政治信条以外の態度が気に食わなかった」と、その理由が判然としないものになっています。

 過去の政府要人への攻撃やテロ行為は、政治信条への反発や行政への不信などが主でした。しかし、山上容疑者の凶行にはそういった「明確な理由」が現状見えません。通り魔的犯行、と表現する可能性すら残っています。

ジョーカー、無敵の人を想起

 2008年の秋葉原連続殺傷事件、近年でも2021年の京王線ジョーカー事件など悲惨な事件は多くありますが、彼らは「生きる理由がないから人を殺す」「死刑になりたかった」などというものでした。もし山上容疑者が「安倍元首相が何となく気に食わない」という幼稚な理由ならば、ほとんど理由がなかったことと同じようなものではないでしょうか。

 生きる意味を感じない中での凶行は、映画『ジョーカー』の生きる希望を見出せず世の中を壊す人間性や、世の中に未練がなく犯罪を起こすことにためらいがない「無敵の人」という言葉が、当てはまってしまいます。

 山上容疑者は本当に「ただ気に食わなかった」から安倍元首相を殺害したのか。もしそうなら、それが一国の重要な政治家の命に届いてしまったことの衝撃はあまりにも大きく、あまりにも悲しい。時代や人間の心が大きく変わったことの象徴と見る向きもあります。

 安倍元首相のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
(文/谷口譲二)