思考

「男女の友情」成否の結論…男女の心理の違いで明白

発行責任者 (K.ono)

 芸能人の恋愛スキャンダルが発覚すると、「交際を認めるか否か」という芸能記者からの質問に対し「よいお友達です」との回答がよく聞かれます。

「男女の友情は成立するか否か」

 事務所の力関係や芸能人的イメージを守るために交際を肯定できないという場合によく使われる、言い訳の王道と言ってもいいでしょう。

 スクープ写真などを見たファンは、「絶対に嘘だ」と感じつつも、一応は否定したためにどこかホッとするのではないでしょうか。

 お隣・韓国では、友達以上だがまだ付き合ってはいない、という段階の関係を「サム」ということがあります。

 芸能人同士の恋愛でも、事務所から「二人はサムの段階だ」と公式発表されることもあり、ファンとしては「事実無根だといってほしかった……」とガッカリすることも少なくありません。

 ところで、「男女友情は成立するか否か」という問題は、あちこちで話題になる難しい問題です。

 これは多感な思春期の男女はもちろんのこと、結婚適齢期と呼ばれる20代や30代、家族を持って社会的な経験も積んだ40代、50代、さらに人生の酸いも甘いも噛み分けたという年代になってからも、人によって答えは分かれるのではないでしょうか。

 これは「好意」という感情に、恋愛感情と友情という2種類があることが原因の一つといえるでしょう。

 心理学者・齋藤勇さんの著書『男女がうまくいく 心理学辞典(朝日新聞出版)の中で紹介されている、ルービンの好意尺度と恋愛尺度」を見ると、「心身ともにつながっていたい・相手のためならなんでもしてあげたい・ふたりきりになりたい」と感じるのが恋人。性的要素のほかに独占欲や依存心も透けて見えます。

男性は恋人と友人との境界線があいまい

 対して「優れたところがある」「尊敬できる」「信頼できる」「気が合う」と感じる度合いが大きいのが友人です。こちらは性的要素を含まないので、男女の友情は成り立つと考えられます。

 しかし、この好意尺度と恋愛尺度をごちゃまぜにしてしまう人がいるのです。ルービンによれば男性の方がこの傾向が強いと言います。日本人大学生を対象にした研究でも、恋人と友人との親密度を点数で表すと男性の方が点数の差が小さいという結果がでました。

 つまり、女性が恋人と友人をハッキリ区別するのに比べ、男性は恋人と友人との境界線があいまいだといえます。

 男性は「イケる」と思って告白したのに、女性には全然その気がなかったという悲しいズレが起こってしまうのです。「思わせぶりな態度をとりやがって」と悪態づく男性も多いのですが、女性からすると思わせぶりな態度を取ったつもりはないということ。

 あくまで「人として」好感を持っているだけで、恋人にしたいという意図は全くなかったというわけです。

 これはオスとして子孫を残さなければいけないという本能も影響しているようです。男性にとって女性はみんな恋人候補であり、男女の友情が成り立った相手はあくまで結果論として友人になったというわけです。

 先述の問題提起で「男女の友情は成立する」と答える人はルービンの各尺度を別々に捉えている人、「成立しない」と答えている人はごちゃまぜにしているのかもしれません。

 ある意味では、「女性は全て恋愛対象」と捉えることのできる、本能に則した生き方といえるでしょう。あなたの回答はどちらだったでしょうか。
(文/愛知太郎)